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2012年11月11日 (日)

多摩市議会「予算決算特別委」の誕生と今後の課題~総括として~

新設した予算決算特別委員会・安藤委員長がその趣旨を「たま市議会だよりNo.195」(11/5発行)で報告している。

すなわち、本ブログの11/5記事で書いたように、議会基本条例第9条で規定した「決算での事業評価―市長へ説明―予算への反映」を決算―予算の連動として実行するため、ということだ。通常は、どの地方自治体議会も予算と決算は分けてそれぞれ特別委員会を構成している。ここではそれを合体し、年度内では一本化した運営とした。

このアプローチでは「議会の評価」によって検討された施策に関する提案も、市による予算編成過程の中に検討課題として繰り込まれたことになる。

「たより」の中では下に示すように、市民向けに判り易く「図」で描かれている。但し、ここで重要なポイント、予算案作成(編成)は市長の権限であることが抜けている。そこで例えば、川崎市では各会派が市長へ別途、「要望書」を提出している。おそらく、都道府県、政令市等の比較的人口規模の大きな自治体議会では同じような事情だと推定する。

 [図 予算編成の流れ]
  議 会         市 長
決算認定→     ←決算案提案
 事務事業評価         
    ↓         予算案作成
「議会の評価」    →  ↓  
市側との意見交換←→  ↓  
             ←予算案提案

全国的な議会改革の流れの中で、この意義は大きいだろう。条例に基づいて、「事業評価」を位置づけ、首長に予算案へ十分に反映させる“努力義務”を課し、「首長―議会」間の実行体制を構築したのは、全国初かもしれない。

ここで直ちに思い浮かぶのは、政策及び予算に対する「事業評価」の比重である。
多摩市の昨年度決算(歳出)は一般会計481億円、特別会計266億円、合計747億円である。11/6記事の中で記載した事業評価「8事業」は決算的視点(例えば、費用対効果)で問題が大きいとして選定されたものであろうが、各事業の決算額が書かれておらず、その規模が想定できない。

また、事業選択全般を貫く基本的考え方があったのか、あるいは個別の判断なのか、明らかでない。各会派の決算討論を読んでみても、事業評価の位置づけ、その内容等に言及がない。従って、政策全般から考えると、「市側との意見交換」どの程度の比重を占めるのか、結局、春の予算委員会の結果をみないと良くわからない状況だ。

以上のように、試みとして注目に値するが、予算と決算の重要性は非対称的であって、圧倒的に予算に傾く。従って、決算審査の方法、それに基づく事業評価の考え方、具体的事業の選択基準、各事業の問題点の構成と提案、「市長への説明」における提案の位置づけ等、このシステムの運営上、議会として整理し、市民へ提示する必要があるだろう。

しかし、「たより」では「市長への説明」に対する説明はなく、『多様な意見の集まった議会が、一つの見解をまとめることは、至難のわざだが…全会一致の評価をまとめことができた…これは議会の成熟度を示す』と述べる。議会がしっかりとした自覚を持ってこの取組に臨んでいるか、不安に感じる文面だ。市民へのPRは良いが、いささか甘さを含んだ自己評価を感じるからだ。

議会において多様な意見が集まるのは、市民の間に多様な意見があるからだ。これを一つの見解にまとめるのが将に議会の仕事である。全会一致は、これまでも繰り返されてきた。どこが至難のわざなのか?議員間討論をすることを指しているのだろうか。

いや、議会の成熟度は、そのときの議論の質的内容によって決まるはずだ。
「議会の評価」「市長への説明」、それぞれの質的内容、すなわち“予算への反映”が可能な提案になっているのか。議会が問われるのはそこだ!それを市民に公開の場で実施する処に「基本条例第9条」の意義がある。

一方、編成権を持つ予算において、市長は評価対象事業に対して条例上の“努力義務”を負うことになった。これまでは、要望を聞くだけで良く、“義務”はなかった。少なくとも表側では!この点で、議会と市長の攻防関係が発生したことになる。上記[図]における「←→」を参照されたい。

「市長―行政機構」側も施策を実施し、何らかの方法で、多様な市民の意見を聞いているであろう。そのことも含めて次の施策をまとめ、現実可能性を睨みながら「施策―予算」に対する具体的案を考えるはずだ。先に述べたように予算規模は判らないが、評価対象事業については、市長の「直接フォロー事業」になるのがビジネスマン的常識である。

先に、「たより」を引用して議会の自覚に不安に感じると書いた。これは、11/2記事に引用した、市議会側は防戦一方で意見交換とは名ばかりの会だった、との読売新聞の評価と合致するようだ。

一方、市長側は “始めの一歩”から議会に対して質問してきたようだ。それは市長の「直接フォロー」と考えれば当然である。これに対して議会が行政職員への説明だけで、「議会の評価」の全体像を何も用意をしていなかったことは、再説しないが、11/3記事で紹介した岩永議員のブログからも読み取れる。

すなわち、このシステムを動かすうえで重要なのは議員間の意見調整ではない。優れた意見を見出し、それに一本化することだ。案件によっては、議員間討論だけでは済まず、専門家、市民から意見を抽出する方法も必要になる。「市長―行政」と正面から対峙するには、20-30名程度の議員を超えていることも多々あるはずだ。しかし、これは逆に既存の議会イメージを突破する手がかりにもなりそうだ。

翻って、ここまで議論したことは、多摩市議会の議会改革の進む方向が正しく、従って、新たな壁に到達したと考えるべきだ。自ら進んでテストを受けているのだ。更に言えば、テストを受けているのは、議会だけではなく、市民も同じだ。議会改革の進展と共に、議会のあり方、市民のあり方に対する認識も変える必要がある。取りあえず、その先端をきり、何らかの提案あるいは試みをする市民も必要だ。

ごく普通の地方自治体議会、例えば、川崎市議会は、テストを受けずに、頭からふとんをかぶって避けている状態だ。しかし、尻はかくせず、というのがここ数年間の議会改革のうねりである。
議会改革の進んでいる議会は果敢なチャレンジを行い、他のすべての地方自治体議会はテストを受け、片山前総務相の「遅々として進んでいる」との評価を覆すことが必要となっている。

            

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